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スタートアップのフェーズとは?定義や資金調達ラウンドについて徹底解説
2026.06.30
スタートアップ
スタートアップには、事業の成熟度を示す「成長フェーズ」と、資金調達状況を表す「資金調達ラウンド」という2つの軸があります。この違いを理解することは、転職を検討するうえで不可欠です。なぜなら、入社するタイミングによって仕事内容やリスク・リターンの大きさが根本的に変わるからです。本記事では、各フェーズ・ラウンドの定義から、段階ごとの課題や必要な人材までを網羅的に解説します。

スタートアップのフェーズ・ラウンドとは?全体像の整理
スタートアップを理解するうえで、「フェーズ」と「ラウンド」という2つの概念は切り離せません。どちらも企業の成長段階を表す言葉ですが、意味と使われ方は異なります。まずはこの2つの違いと関係性を整理します。
フェーズとラウンドの違いと関係性
フェーズとは、スタートアップの事業成熟度を表す段階区分です。「事業がどこまで育っているか」を示す概念であり、シード・アーリー・ミドル・レイターの4段階に分けられるのが一般的です。
ラウンドとは、資金調達のタイミングと規模を表す区分です。「どのステージで・どの種類の株式を使って資金を調達したか」を示す概念であり、プレシード・シード・シリーズA・シリーズB・シリーズC以降という形で進んでいきます。
2つの関係性を一言で表すと、「フェーズは事業の成熟度、ラウンドは資金調達の段階」です。フェーズとラウンドは概ね連動しており、アーリー期にシリーズA、ミドル期にシリーズBという形で対応することが多いですが、完全に一致するわけではなく、事業の進捗や市場環境によって前後することもあります。
なぜフェーズ・ラウンドを理解することが重要か
フェーズとラウンドの理解が重要な理由は、関わる立場によって異なります。
スタートアップへの転職を検討している方にとっては、入社するスタートアップのフェーズによって、仕事の内容・求められるスキル・リスクとリターンの大きさが大きく変わります。「シード期の会社に転職する」のか「シリーズBを終えた会社に転職する」のかでは、働く環境が根本的に異なります。自分の志向やスキルに合ったフェーズを選ぶことが、転職成功の重要な判断軸になります。
スタートアップ経営者・事業担当者にとっては、自社のフェーズと次のラウンドを正確に把握することで、採用・投資家へのアプローチ・事業の優先順位設定が明確になります。
投資家・VCからスタートアップに関わる方にとっては、案件評価の基本軸としてフェーズとラウンドの理解が不可欠です。
よくある質問
Q:フェーズとステージは同じ意味ですか?
A:ほぼ同義として使われます。「成長ステージ」「フェーズ」「グロースステージ」はいずれもスタートアップの事業成熟度を表す言葉です。日本では「フェーズ」「ステージ」が混在して使われることが多く、明確な定義の違いはありません。
Q:スタートアップ以外の企業にもフェーズ・ラウンドという概念は使いますか?
A:フェーズ・ラウンドという区分は主にベンチャー・スタートアップ領域で使われる概念です。大企業や中小企業の成熟した事業には通常使いません。ただし、大企業の新規事業部門や社内ベンチャーに対して同様の概念を適用するケースはあります。
スタートアップの4つの成長フェーズ
スタートアップの成長フェーズは、一般的に「シード・アーリー・ミドル・レイター」の4段階に分類されます。各フェーズで事業の状態・資金調達の規模・求められる組織体制が大きく異なります。
① シード期
シード期は、事業アイデアや課題仮説はあるものの、プロダクトや収益モデルがまだ確立していない最初期の段階です。「種(シード)を植える」という言葉が示すとおり、事業の芽を育てるフェーズです。
- 事業の状態:プロダクト開発中・MVP(最小限の製品)の検証段階
- 主な課題:PMF(プロダクトマーケットフィット)の達成・初期顧客の獲得
- 資金調達額の目安:数百万〜数千万円
- 主な資金調達先:エンジェル投資家・シードVCファンド・公的助成金
創業者が数名で動いていることが多く、組織としての体制はほとんど整っていない段階です。仮説検証とピボット(方向転換)を繰り返しながら、事業の形を探っていきます。
関連記事:シード期とは?定義・資金調達・求められる人材・転職のポイントを徹底解説
② アーリー期
アーリー期は、プロダクトが市場に投入され、一定の顧客・売上が生まれ始めたフェーズです。PMFの達成を目指して事業モデルを磨き、成長の基盤を作る段階です。
- 事業の状態:プロダクトリリース済み・初期顧客が存在する
- 主な課題:PMFの確認・再現性のある顧客獲得モデルの構築
- 資金調達額の目安:数千万〜数億円(シリーズA)
- 主な資金調達先:独立系VC・CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)
「製品は作れたが、売り方・届け方がまだ定まっていない」という状態から「この方法で顧客が取れる」という手応えを掴むまでのフェーズです。組織も徐々に拡大し、採用が本格化し始めます。
関連記事:アーリー期とは?定義・特徴・資金調達・転職のメリットとポイントを徹底解説
③ ミドル期(グロース期)
ミドル期は、PMFを達成し、事業を急拡大させるフェーズです。「グロース期」とも呼ばれ、確立されたビジネスモデルをもとに、人・金・組織を一気に拡張します。
- 事業の状態:PMF達成・売上が急成長中
- 主な課題:スケールアップ・組織体制の構築・多角化の検討
- 資金調達額の目安:数十億円(シリーズB・C)
- 主な資金調達先:大手VC・PE(プライベートエクイティ)・事業会社
採用・マーケティング・営業への大規模投資が行われ、組織が急速に拡大します。カルチャーの維持・マネジメント体制の整備・KPI管理の高度化など、「成長する組織を管理する」難しさが顕在化するフェーズでもあります。
④ レイター期
レイター期は、事業モデルが確立され、市場での地位が安定した成熟段階です。さらなる規模拡大を進めながら、IPO(上場)やM&Aといったイグジット(出口戦略)を本格的に視野に入れるフェーズです。
- 事業の状態:事業が安定・黒字化またはIPO水準に近い
- 主な課題:上場準備・ガバナンス強化・グローバル展開
- 資金調達額の目安:数十億〜100億円以上(シリーズC以降)
- 主な資金調達先:大手VC・PE・機関投資家・上場市場
組織規模が数百〜数千人規模になることも多く、経営の複雑性が増します。ベンチャー的な動き方より、大企業的なガバナンスと管理体制が求められるようになるフェーズです。
フェーズ×ラウンド×調達額 早見表
| フェーズ | 対応ラウンド | 調達額の目安 | 主な調達先 |
| シード期 | プレシード・シード | 数百万〜数千万円 | エンジェル・シードVC |
| アーリー期 | シリーズA | 数千万〜数億円 | 独立系VC・CVC |
| ミドル期 | シリーズB・C | 数十億円 | 大手VC・PE |
| レイター期 | シリーズC以降 | 数十億〜100億円超 | PE・機関投資家 |
よくある質問
Q:シード期とアーリー期の明確な境目はありますか?
A:明確な定義はなく、プロダクトのリリース有無・初期顧客の存在・PMFの達成度合いなどを総合的に判断するのが一般的です。「プロダクトが市場に出て、繰り返し顧客が取れる手応えが生まれ始めたタイミング」がアーリー期への移行の目安とされます。
Q:すべてのスタートアップがシードからレイターまで順番に進みますか?
A:必ずしも順番どおりではありません。ピボット(事業転換)によって実質的にシード期に戻るケースや、特定のフェーズを短期間で通過するケース、シリーズAの前にプレAという調達を行うケースもあります。フェーズはあくまで事業の成熟度を示す目安であり、すべてのスタートアップに均一に当てはまるものではありません。
資金調達ラウンドとは?プレシード〜シリーズC以降の全体像
資金調達ラウンドとは、スタートアップが投資家から資金を調達する際の「段階」を示す区分です。ラウンドが進むほど調達規模が大きくなり、求められる事業の成熟度も上がります。ここでは、プレシードからシリーズC以降まで各ラウンドの特徴を解説します。
プレシード・シードラウンド
プレシードラウンドは、事業アイデアや創業チームへの期待をもとに、事業が本格的に動き出す前の段階で行われる最初の資金調達です。調達額は数百万円程度のケースが多く、エンジェル投資家や創業者の知人・家族から調達することが一般的です。
シードラウンドは、プロダクト開発や初期検証に必要な資金を調達するフェーズです。シードVCや一部のエンジェル投資家が主な調達先となり、数千万円規模の調達が行われます。
- 調達の目的:プロダクト開発・MVP検証・創業チームの人件費
- 投資家が見るポイント:創業者の能力・事業の課題設定の解像度・市場の大きさ
- 調達額の目安:数百万〜数千万円
シードラウンドでは、事業の実績よりも「この課題を解決できるチームか」「市場にポテンシャルがあるか」という定性的な評価が重視されます。
シリーズA
シリーズAは、PMFの達成・または達成の確度が高まってきたタイミングで行われる資金調達です。A種優先株式を発行して調達するため「シリーズA」と呼ばれます。
- 調達の目的:営業・マーケティングへの投資・採用の本格化・プロダクト改善
- 投資家が見るポイント:PMFの達成度・顧客獲得コスト(CAC)と顧客生涯価値(LTV)のバランス・再現性のある成長モデル
- 調達額の目安:数千万〜数億円
シリーズAは「本当にこのビジネスが成立するか」を投資家が見極めるラウンドです。アイデアへの期待ではなく、数字と事業モデルへの評価が中心になります。このラウンドを超えられるかどうかがスタートアップの最初の大きな関門とも言われます。
シリーズB
シリーズBは、事業モデルの有効性が証明され、スケールアップを加速させるための資金調達です。PMF後の成長を「再現性をもって拡大する」フェーズに対応したラウンドです。
- 調達の目的:販路拡大・組織の急拡大・新市場への参入・テクノロジー投資
- 投資家が見るポイント:成長率・ユニットエコノミクス・組織体制・競合優位性
- 調達額の目安:数億〜数十億円
シリーズBでは、大手VCやCVCが本格的に参入するケースが多くなります。調達規模が大きくなる分、投資家側のデューデリジェンス(DD)も厳格になり、財務・法務・組織の精査が行われます。
シリーズC以降
シリーズCは、事業が大きく成長し、さらなる規模拡大・グローバル展開・IPO準備に向けた資金調達です。シリーズD・E以降も、事業フェーズや調達ニーズに応じて続くことがあります。
- 調達の目的:海外展開・M&Aによる事業拡大・IPO準備・新規事業への投資
- 投資家が見るポイント:売上規模・利益率・市場シェア・上場可能性
- 調達額の目安:数十億〜100億円以上
シリーズC以降になると、大手VCに加えてPE(プライベートエクイティ)ファンドや機関投資家、事業会社からの戦略的投資(CVC)が参加するケースが増えます。またこの段階では、IPOに向けた内部統制・ガバナンス整備・監査法人の選定なども並行して進めるのが一般的です。
よくある質問
Q:シリーズAとシリーズBの違いは何ですか?
A:シリーズAは「PMFを達成できるか・このビジネスモデルは成立するか」を検証するフェーズの調達であるのに対し、シリーズBは「PMFを達成した事業をいかに速く・大きくスケールさせるか」に必要な資金調達です。シリーズAでは事業の可能性への投資、シリーズBでは実績に基づく成長加速への投資という性格の違いがあります。
Q:シリーズDやEまで調達が続く会社はどんな会社ですか?
A:IPOのタイミングを遅らせながら大規模な事業拡大を目指す会社や、グローバル展開・M&Aに大きな資金を必要とする会社がシリーズD以降まで調達を続けるケースがあります。近年は「レイターステージのスタートアップ」として数百億円規模の調達を行う会社も増えており、特にSaaS・フィンテック・ヘルスケア領域で見られます。
フェーズごとの課題と必要な人材
スタートアップへの転職を検討するうえで最も重要なのが、「どのフェーズの会社に入るか」という判断です。フェーズによって組織の課題・求められるスキル・働き方が根本的に異なります。ここでは各フェーズの課題と、そこで活躍できる人材の特徴を解説します。
シード期の課題と求められる人材
このフェーズの主な課題
シード期の最大の課題は「PMFを達成できるかどうか」です。プロダクトが市場に受け入れられるかが不確かな状態で、仮説検証・ピボット・再検証を高速で繰り返す必要があります。資金も人員も限られるなかで、事業の方向性を見極めることが最優先の課題です。
- プロダクトの方向性が定まっていない
- 収益モデルがまだ確立されていない
- 採用・営業・開発をごく少人数で回す必要がある
- 外部からの信頼・実績が乏しく、顧客獲得に時間がかかる
求められる人材の特徴
シード期は「何でもやれる人」が活躍するフェーズです。役割が明確に分かれておらず、一人が複数の機能を担うことが当たり前です。
- 曖昧な状況を楽しめる・自分で問いを立てられる人
- 正解がない状態でも動き続けられる行動力と胆力がある人
- 創業者との密な対話を通じて事業をともに作れる人
- 特定の専門性よりも「事業を前に進める汎用力」がある人
アーリー期の課題と求められる人材
このフェーズの主な課題
アーリー期の課題は「再現性のある成長モデルを作ること」です。PMFの手応えは出てきたものの、「なぜ売れているのか」「どうすれば再現できるのか」の仕組みがまだ言語化・体系化されていない段階です。
- 顧客獲得のコスト(CAC)が高く、効率的な獲得モデルが未確立
- 営業・マーケティングの再現性がない
- 採用が本格化し始めるが、採用基準・カルチャーが言語化されていない
- プロダクトの改善サイクルを回しながら営業も同時に進める必要がある
求められる人材の特徴
アーリー期は「仕組みを作れる人」が特に価値を発揮します。ゼロから営業・マーケ・採用の型を作った経験がある人が重宝されます。
- 0→1の営業・マーケティング経験がある人
- データをもとに仮説を立て・改善を繰り返せる人
- プレイヤーとして動きながらも型化・言語化できる人
- 少ないリソースで最大の成果を出す優先順位判断ができる人
ミドル期の課題と求められる人材
このフェーズの主な課題
ミドル期の課題は「急拡大する組織と事業をマネジメントすること」です。事業は成長しているものの、組織が急速に大きくなることで、コミュニケーション・カルチャー・マネジメントの問題が次々と顕在化します。
- 採用が急加速し、カルチャーの希薄化・組織崩壊のリスクが高まる
- マネジメント層が不足し、現場の管理が追いつかない
- 複数の事業・プロダクトを並行して成長させる必要がある
- KPI管理・予算管理など経営管理の高度化が求められる
求められる人材の特徴
ミドル期は「組織を動かせる人」「マネジメント経験者」の需要が急増します。大企業での組織運営経験がここで活きるフェーズです。
- チームマネジメント・組織設計の経験がある人
- 事業会社での営業・マーケ・プロダクトの責任者経験がある人
- 数字で管理しながら組織を引っ張れるリーダーシップがある人
- 急成長環境でのプレッシャーに耐えられるメンタルの強さがある人
レイター期の課題と求められる人材
このフェーズの主な課題
レイター期の課題は「上場・M&Aに向けた組織・管理体制の整備」と「大企業化しながらも成長スピードを維持すること」です。ベンチャーから次のステージへの脱皮が求められます。
- IPO準備に向けた内部統制・コンプライアンス体制の整備
- 大企業的なガバナンスとスタートアップ的なスピード感の両立
- 海外展開・新規事業など複数のフロントを同時に推進する必要がある
- 大企業出身者とスタートアップ出身者が混在し、カルチャーのすり合わせが難しい
求められる人材の特徴
レイター期は「大企業での高度な専門性」を持つ人材の需要が高まります。CFO候補・法務・経理・人事など管理部門の専門家が特に求められます。
- 上場企業での経理・法務・内部監査の経験がある人
- 大企業での事業部長・本部長クラスの管理経験がある人
- グローバル展開の経験・語学力がある人
- コーポレートガバナンス・IR・投資家対応の経験がある人
フェーズ別・求められる人材タイプまとめ
| フェーズ | 求められる人材タイプ | 活きるバックグラウンド |
| シード期 | 何でもやれる汎用型 | 起業経験・コンサル・社内新規事業 |
| アーリー期 | 仕組みを作れる型 | 営業・マーケ・BizDev経験者 |
| ミドル期 | 組織を動かせるマネージャー型 | 事業責任者・マネジメント経験者 |
| レイター期 | 専門性×ガバナンス型 | 大企業の管理部門・上場準備経験者 |
よくある質問
Q:大企業出身者はどのフェーズのスタートアップに向いていますか?
A:大企業出身者が最も活躍しやすいのはミドル期〜レイター期です。組織マネジメント・予算管理・ステークホルダー対応などの経験が直接活きます。一方、シード・アーリー期は「正解のない環境で自走する力」が求められるため、大企業での経験が必ずしもアドバンテージになるとは限りません。大企業からスタートアップへの転職を検討する際は、自分の強みが活きるフェーズを見極めることが重要です。
Q:スタートアップのどのフェーズが転職リスクが最も高いですか?
A:一般的にシード期が最もリスクが高いフェーズです。事業の存続そのものが不確実であり、資金が尽きれば会社がなくなる可能性もあります。一方でリターン(ストックオプションの価値など)も最大になり得るフェーズです。リスクを抑えたい場合はシリーズA以降・特にシリーズBを終えた会社が選択肢になります。転職のリスク許容度と自分のキャリアフェーズを照らし合わせてフェーズを選ぶことが大切です。
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